問題対応をお願いしていたアルバムの写真が焼きあがったとホテルから連絡があってから三週間、ようやく二人でホテルに向かい、確認をする。
同席したウェディング部門の支配人の挨拶を受け、やけに仕上がりのよさを強調されたがあらかじめ二人でピックアップしていたので、予想の範囲内の構成と出来であった。ただ、ひとつ予想外だったのはカメラマンの不注意による失敗写真が修正され含まれていたことだ。式前の打ち合わせ時にはトリミングも修正も一切かけないと言う話だったのだが、問題対応をお願いした結果ホテルとカメラマンの判断で修正をしたようだ。
内容を確認し、いくつかリクエストが正確に伝わっていなかった写真の差し替えをお願いし、後日アルバムを受け取ることになった。
これでようやく完成する。
リクエストしたシーンのうち、両親との写真やメイクシーンなど、7つリクエストした項目のうち、3つは抜けている(失敗写真の修正がなければ4つだった)し、アングルやカットのバリエーションはサンプルアルバムに遠く及ばない。
ただ出来る範囲で最善は尽くすことが出来た。
一息ついて支配人が去り、責任者とアルバム代金の話に入った。その中で「ホテルとしては全額返金とは考えていない。」「お二人はいくらなら妥当と考えますか。」とたずねられた。
一度ホテルに判断を預けたはずだったので、ちょっとびっくりしたが、二人で相談した結果、僕らとしては撮影技術料はお支払いできるものではないが、写真を焼いてアルバムを製作する分について対価としてお支払いしたい、しかし具体的な金額は答えられないので、判断材料としてアルバムセットの内訳を教えてくださいとお願いした。
しかし、その返答は、撮影とアルバム製作料はセット料金なので内訳は教えられないと言うことだった。僕は苦笑いをして、問題対応を依頼したあとの費用については納得の上お願いしていることと、ただそれでも写真の品質としては十分でないが他にとるべき手段がないためお願いしていることを踏まえてホテルとして判断くださいと責任者に伝えた。
最後の最後で認識のずれを感じた僕は再度責任者へ質問した。シーンが抜けたのは、カメラマンのミスですか?我々のリクエストミスですか?それともスナップ写真をとる上で起こりうる不幸な事故ですか?と言う内容だ。
それに対しては、カメラマンのミスやタイミングの悪さが重なった結果である、と言う返答があった。返答からは認識がずれていないようだったし、責任者も決して不誠実な対応ではないのだけれども、しかし、今日の対応からは問題を大きくしたくないような意思も感じる。
黒幕はウェディング部門支配人だな、と思いつつ、僕らは丁重に責任者にお礼をいい、ホテルを後にした。
アルバムの出来上がりは来週とのことだが引越しにまぎれて受け取りはもう少し先になりそうだ。結婚式からもう半年経とうとしている。