しばらくして、すべてこなしたオクサマが「全部できた!褒めて!褒めて!」とベッドに飛び込んできた。しかしもう僕は半分寝ている。褒めたいが頭が働いていないので具体的に感謝の気持ちを伝え褒められない。
「ほめる、ホメル、褒め、ホメホメ」とつぶやきながら、どうしたらこの鈍い思考の中で最大限の感謝が伝えられるか考えているうちに僕は「……ベホメ!」と叫んでいた。
ぜんぜん具体的じゃない。
限界か、と思っていたらオクサマが「ベホメ!ベホメ!褒められた!」と喜んでいた。最上級の感謝の気持ちが伝わったようだ。「ベ」とはなんと便利なメタファーだろうか。
翌朝、「ベホメズンはないの?」と聞かれたので「オクサマは一人しかいないので無意味です」「そしてダンナチンも褒められ手柄が奪われるのです」と答えたらショックを受けていた。
*ベホマズンとは