掃除の様子をうかがっていたら、スーパーに行きそびれた。
出かけるのも面倒だったのでありもので夕食を作ることにした。しかし冷蔵庫の中に肉や魚はなく、野菜もわずかにあるのみだった。ナス、にんじん、ピーマンが1個ずつ、それに卵。
その報告をするとオクサマは「うっうっうっ、都会で餓死する」とひもじい振りをした。ピザを取ったりコンビニに買いに行っても良いのだがそれも不経済だし不健康である。
僕はさらにストッカーを探し、ホールトマト缶詰、干ししいたけ、たまねぎを確認した。記憶からレシピを逆引きし、卵とご飯とチーズとパン粉を使ってライスコロッケを、野菜とトマトの缶詰でラタトゥーユを作った。
ライスコロッケにラタトゥーユを添えて食卓に用意したところで洗面台の掃除を終え休んでいたオクサマに声をかけると、「カ、カフェメシ!」と顔をほころばせていた。「ほとんど食材がないところから、お前、すごいな」と誉めてくれ「結婚してください」とプロポーズされた。自分に出来ないことを僕がこなしているのを見るとプロポーズしたくなるらしい。
食べ終わった後、お茶を入れながら「うまかった!今日、ダンナチンの株は急上昇したよ!」とオクサマは言う。そこでせっかく高値がついたので売ってみたい旨申し入れると「非公開だから無理」といわれた。何かがおかしい。