引越し後、オクサマの発案により、我が家にお弁当制度が導入された。
財務担当であるところの僕にお小遣い制度を導入され、また昼食代が思いのほかお小遣いを逼迫させることがわかったため、本や服が満足に買えないオクサマのストレスを軽減するために必要な制度である。
初日、オクサマは張り切ってお弁当を作った。もちろん僕の分もだ。
二日目、オクサマは眠い目をこすりながらお弁当を作った。もちろん僕の分もだ。
三日目、オクサマは僕と同時に起きた。オクサマはお弁当製作をあきらめた。お弁当制度終了の危機が訪れた。
ちなみに、起きてから15分でシャワーを浴びて着替えて家を出れる僕に比べ、オクサマは化粧をはじめとする身支度に時間がかかる。ほぼ同じ時刻に家を出るため、同時に起きると僕には30分ほどの余剰の時間があることになる。
そこで、同時に起きた三日目の日、僕はお弁当三日坊主クライシスを回避すべく、朝食を作るついでにお弁当を詰めた。卵焼きを焼いた他は前の日の夕食や冷凍食品を詰めただけのものだがオクサマは喜んでくれた。
そして詰めるだけなので、同時にさえ起きれば難はないので同時に起きたときを条件に、僕が弁当を作ることを約束した。代わりにオクサマは、夕食作成をがんばることを誓った。
がんばれ、オクサマ、夕食を作らないとお弁当がすべて冷凍食品になるよ!と僕が激励すると「それはそれで問題ない」と言う顔をした。二人の料理スキルはまだ冷凍食品にはかなわない。