仕事のあと、僕は新宿で買い物をしていたオクサマと待ち合わせた。待ち合わせの間音楽を聴いていたオクサマは「MD Walkmanの電池部分の接触が悪くなって、もうだめみたい」といった。もしだめそうなら前から欲しがっていたNetwork Walkman買う?と聞くと「今働いていないから無駄遣いは出来ないよ」とオクサマは答えた。
僕が誕生日にプレゼントしようか、とさらに聞くと「そんなに待てない」と返事があった。だが僕はオクサマの少し含んだ言い方に気づいた。……オクサマが、欲しがっている!
そこで誕生日プレゼントの前借りをして、今から買って帰ることを提案した。
しかしオクサマに「そんなことをしたら誕生日にへこむから、やだ!」と却下された。そうか、誕生日はケーキと花束だけになっちゃうもんね、と僕が納得しかけるとオクサマは「そうか!花束はあるんだね!?」と目を輝かせた。
30分後、オクサマの右手には
NW-E507がはいった紙袋が握られていた。
「もう、何でダンナチンはオクサマに魅力的な提案をするんだよ!まったく、困るんだよね、ダンナチン!」と文句をいわれながら帰ってきた。
オクサマは一足早く、誕生日プレゼントを手に入れたよ。