これは僕の誕生日プレゼントとして探していたのだけれど、結局、オクサマから他のものをプレゼントしてもらったため、僕は家に取ってあった財布のことを思い出して使い始めたよ。ちなみに、この財布は「小銭入れが大きく開く財布」で、数年前母からもらったのだが、そのとき今の財布を買ったばかりだったのでしまいこんでいたものだ。
それから2週間ほどした先日、とあるお店で、オクサマは僕の希望に添うような財布を見つけた。僕が使い始めた財布の素材よりは良く、値段も手ごろだ。ただ色も形も今使っているものに良く似ている。オクサマは「プレゼントしようか?」と聞いてきた。今使っているものは十分機能を満たしているから、お金ももったいないし、いいよと僕は答えた。するとオクサマは「その財布はちっともステキじゃないからプレゼントするよ。」と続けたが、僕は使えているものが今ここにあるからお金を使うのはもったいないじゃないかと譲らない。
ケンカになった。
「プレゼントするんだよ?」
「ダンナチンは機能以外のこだわりがなさ過ぎる!」
「オクサマはこれからずっとそのステキじゃない財布を見て、溜息をつくんだよ!」
「ダンナチンはオクサマよりも母の選んだお財布のほうがいいの?」
「普段そんなに節約しているか?」
オクサマに色々といわれるが、既に誕生日プレゼントももらったし、こだわるところではないと思うし、機能も十分有している財布を持っていたことを思い出している。だから無駄なお金の使い方だと思ったので僕は断固NOの姿勢を崩さない。何より4月一杯で退職するオクサマに無駄なお金を使わせるのは心苦しい。
結局、その日、オクサマの機嫌を損ねたまま、家に帰ってきた。そして僕がくつろいでいると、オクサマは後ろから僕に襲い掛かって、くすぐり始めた。
「ひひ、やめて欲しい?オクサマがあの財布プレゼントしたら使う?」
うひゃひゃひゃ!つ、使う!使うよ!
「るるるー、勝った勝った」
あの議論は何だったのだろうと思ってはいけないよ。